なぜ肉屋がそこまで?
養老ミートが自社牧場を手掛ける理由。


こんにちは。
飛騨牛をメインに取り扱う
食肉のプロ集団養老ミートです。

 今回は、業界内でも珍しい「自社牧場」についてご紹介します。語り手はよっち専務こと専務の田中です。

自社牧場に迎えるのは、粒揃いの子牛たち 

前回は、セリに行き、自分の目利きで「生きた牛」を仕入れる難しさと面白さをお伝えしました。このセリでの一頭買いに加え、養老ミートがもうひとつ強みにしているのが「自社牧場」の運営です。

伊吹山麓に位置する自社牧場で育てるのは、和牛と交雑牛。和牛は毎年春に岩手のセリで仕入れ、翌年の末に出荷して飛騨牛となります。交雑牛は全国数カ所から仕入れていたのですが、今後は北海道の提携牧場からの仕入れに一本化します。複数箇所から仕入れると、出生地や年齢が揃わず子牛の質にバラツキが出る点を課題に感じていました。そのため、“粒を揃える”べく、自分たちの好みを理解してくれている人に一任する計画を進めています。

その牧場では常時3万頭以上の牛を買っており、毎月数十〜数百頭の子牛が生まれます。子牛を見る経験が僕よりも圧倒的に多く、養老ミートの育て方に合った子牛を提案してくれるパートナーから仕入れることができれば、今以上に理想の牛を安定して供給できる体制づくりが可能になると考えています。

肥育で培う観察眼が「目利き力」を高めてくれる

週に一度は僕が自社牧場に行き、全体的な牛の仕上がりを確認しています。出荷目前になると、大きくなりすぎた牛がひっくり返り、自分で立ち上がれなくなるなどの事故があります。そのような危険が無いか見回りをしたり、飼料の交換タイミングの指示や設備まわりの交換・修理の判断もします。会社の風土としても僕自身の性格も現場主義なところがあるので、自分の目で見て判断するようにしています。


自社で牛を育てるメリットは、出荷のタイミングを決められることや、清潔な環境でストレスを与えずに育てられることなどがあります。大きく育てるためにたくさん餌を食べさせる必要があるので、牛がリラックスして食事ができるようクラシック音楽を聴かせたり、理想の体型に近づけるための餌の配合にもこだわっています。

育てて売るまでを一貫して手掛けることではじめて、与えた餌が良かったのか、育て方が良かったのかがわかります。結果として表れる変化を見て、改善する。この一連のサイクルを自社で完結できるからこそ、理想の肉に近づけると考えています。

育てるだけ・売るだけではわからないことがあるはずです。自社で肥育する中で培われる観察眼が、美味しい牛を判断する力へと繋がっていくのです。