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競り落とした牛は1万頭。
よっち専務。

こんにちは。飛騨牛をメインに取り扱う食肉のプロ集団養老ミートです。 皆さんは「肉屋」にどんなイメージをお持ちですか。どんな仕事をしてるの?どんな人が働いているの?どんな想いを持っているの?考えたこともないかもしれません。 毎日のように口にしているお肉でも、携わる人やお肉が食卓に運ばれるまでのストーリーにはなかなか目を向けないもの。専務のよっちがお肉のこと、肉屋のこと、美味しく食べること。このジャーナルを通じて、少しずつお伝えしていきたいと思います。 経営者であり、職人。 − 現在の主な仕事と簡単な経歴を教えてください。   − よっち 養老ミートの専務として主に「生きた牛」の仕入れを一任されています。毎週欠かさず公設市場で開催される競り(せり)に行き、自分の手で触って「良い」と感じた牛を仕入れる仕事です。   その牛を自社が経営する小売店や食事処で販売・提供しています。事業計画を立てたり、各店舗への指導も行います。また、海外輸出事業のほか、子会社の岐阜県牛研究センターでは社長として子牛の仕入れも担当しています。自社の牧場にも週に1回は出向き、牛の状態はもちろん、働く人の様子を観察することも大事な仕事です。僕は修行のために、新卒で別の大手企業に就職しました。肉って自分で触らないとわからないことがたくさんあるんです。包丁を握って日々肉と向き合い、肉の取り扱い現場を経験できたことは今の仕事に確実に活きています。農家さんや卸先のお客様との意思疎通もしやすいですし、何より営業だけやっていた人にはできない提案や受け応えができる。この経験があったからこそ、経営者の前に、“職人”として信頼を得ることができているのだと思います。 養老ミートの真骨頂「一頭買い」を支えるのは、経験に裏打ちされた勝負強さ  − 養老ミートの特長を教えてください。   − よっち 養老ミートが質の高いお肉を、安定的にこの金額で販売できているのは、生きた状態で牛を仕入れる「一頭買い」をしているからです。あまり知られていないですが、大手の肉屋であっても生きた状態の牛を仕入れることはまずありません。   肉の質は切って断面を見るまでわからないので、リスクが少ない枝肉(※)取引がスタンダードです。生きた状態で仕入れた牛が良い肉と判断される“勝率”は5割でも上出来と言われますが、今の僕の勝率は8割。驚異的な数字だと自負しています。でも、これくらいじゃないと今の時代は商売になりません。運送費やエサ代などの価格が上昇し失敗が許されない状況で、一昔前の勝率では駄目なんです。だからみんなリスクを回避する。見分ける経験と技術以上に、度胸の要る仕事です。 公設市場には毎回かなりの額の現金を持って行きます。文字通り会社のお金を託されて行くんです。こんな賭けみたいなこと、大きい会社ほどできないですよね。   僕のように身内の経営者じゃないと、腹はくくれないだろうなと思います。 家業に戻って7年強。競り落とした牛は1万頭を超えました。触った数で言えばその数倍になります。 − よっち 競りの度に自分の目利きの答え合わせをし、精度を高める。これは我が社だからこそできる経験ですし、養老ミートの仕事で一番楽しい瞬間です。単なる山勘ではなく、自分の能力と経験に基づく勘が当たるのは、自信になりますし嬉しいですね。 ※枝肉とは内蔵を取り除き、背骨から2つに切り分けた状態 (東京都卸売市場HPより) 肉を突き詰めたからこそ行き着いた、肉屋の殻を破るとき − 今後のビジョンを 教えてください。   − よっち 今、力を入れているのがブランドの見直しです。   弊社には長く愛されている商品がたくさんあるのに、デザインや伝え方で損をしている面がありました。ひと目見てどこの商品かわからなかったり、質の高さに釣り合わないパッケージであるのがもったいないと思ったんです。パッケージの見直しから始め、養老ミートの ロゴやホームページの刷新しました。きちんとしたブランドの商品を買っているのだとお客様自身が実感できること、従業員が自社に誇りを感じてくれるようになるなどの変化を期待しています。 − よっち 海外向けのブランディングとしては、志を同じくする農家「飛騨萩原畜産」さんと「七里牛(しちりぎゅう)」販売を推進しています。   彼らはグローバルな視点を持った”かっこいい農家”を目指していて、今までのネガティブな農家のイメージを覆そうとしているんです。僕も、閉鎖的で少し薄暗いイメージを持たれている肉屋への先入観を取っ払い、過去にとらわれない新しい存在になるべく注力してきました。お互いの殻を破ろうとする姿勢に共感し、一緒にフランスまで行きシェフたちの前でパフォーマンスするなど、海外でも自分達なりの飛騨牛を伝える活動をしているところです。   色々と話しましたが、僕が仕事で一番大切にしているのは楽しむこと。   牛の仕入れもブランドづくりも楽しんでやっていますし、お客様にも従業員にも、養老ミートを通じて楽しい瞬間を重ねてほしいと思っています。まだまだ話し足りないですが、また次回のジャーナルでお会いしましょう。  

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